不動産投資 書籍① #20

購入する物件によって保険の形はどのように変化するだろうか。

火災保険料の決まり方は、不動産投資の収支に直結する非常に重要なポイントです。保険会社は「壊れやすさ(リスク)」を科学的に計算して掛け金を決めるため、「構造」と「築年数」の組み合わせによって、保険料は3〜4倍、場合によってはそれ以上の差が生まれます。

物件選びの判断基準にもなるため、どのように連動するのかを整理しました。


1. 「構造(木造・S造・RC造)」による圧倒的な差

火災保険の世界では、建物は「構造」によって厳格にランク分け(構造級別)されています。頑丈で燃えにくい構造ほど、保険料は安くなります。

  • RC造・SRC造(M構造 / マンション構造): 【最安】
    • コンクリートは燃えないため、最も保険料が安く設定されています。木造と比較すると、同じ補償内容でも約3分の1〜4分の1の掛け金で済みます。
  • S造・重量鉄骨造(T構造 / 耐火構造): 【普通】
    • 木造よりは燃えにくいため、RC造ほどではありませんが安めのプランが適用されます。ただし、鋼材の厚みが薄い「軽量鉄骨(プレハブなど)」の場合、木造と同じ扱い(H構造)になってしまうケースがあるため要注意です。
  • 木造(H構造 / 非耐火構造): 【最高値】
    • 最も燃えやすく、全損リスクが高いため、保険料は圧倒的に高くなります。

2. 「築年数(築浅・築古)」による変動と制限

2026年現在の火災保険市場において、「築年数」のチェックは以前よりも遥かに厳しくなっています。

  • 築浅物件のメリット(築10年未満など):
    • 多くの保険会社で「築浅割引」が適用され、さらに保険料が安くなります。また、設備(給排水管など)の劣化リスクが低いため、特約などもフルに加入しやすいです。
  • 築古物件のデメリット(築20年〜30年超など):
    • 「築古ペナルティ」として基本料金が上がります。
    • 特に「木造の築古」や、先ほど検討した「大規模修繕前のRC造」などの場合、水漏れ(給排水管の破裂)リスクや破損リスクが高いため、保険会社によっては特定の特約(水濡れ損害など)の加入を拒否されたり、自己負担額(免責金額)を高く設定されることがあります。

3. 特約の必要性も「物件スペック」で変わる

前回、優先順位をつけた特約ですが、選ぶ物件によって以下のように重要度が変わります。

  • 築古アパート(木造・S造・RC共通)を狙う場合:
    • 「施設賠償責任特約」と「事故対応等家主費用(孤独死特約)」の重要性が跳ね上がります。
    • 古い物件ほど、外壁の剥落リスクや、ターゲット層(単身・高齢者など)の偏りによる孤独死リスクが高まるため、ここは絶対にケチってはいけません。
  • RC造(鉄筋コンクリート)の物件を狙う場合:
    • 構造自体が極めて頑丈なため、「破損・汚損」などの細かい補償は思い切って外しても大きな問題になりにくく、固定費をさらに削ることができます。

💡 あなたの「1棟目(1,600万円)」への影響

今シミュレーションしている「1棟目:1,600万円のアパート」が、もし「木造の築古」であれば、初期費用としての火災保険料(10年分一括、または年払い)は予想以上に重くなる可能性があります。逆に、もし「RC造やS造」であれば、保険料はグッと抑えられます。

公庫の初回相談に持参する「物件資料(マイソク)」が決まったら、まずはその資料の「構造」と「築年数」をチェックしてください。それをもとに銀行やネットの簡易見積もりを1分で取ることができ、シミュレーションのの精度がさらにガチガチに固まります。