不動産投資 書籍① #15

 値引き交渉のテクニックは、キャッシュフローを増やすために重要な部分です。値引きをしてもらう基本は、物件の弱点を洗い出し、売り手にも同じ認識を持ってもらうこと。

 それにはまず、家主の努力ではどうにもならないことを攻め、次に大きい所から順に個別の弱点を攻める。大規模修繕が必要なタイミングでの売却が目的であれば、より効果的になります。

 具体的なテクニックと、公庫の融資枠を意識した立ち回り方を整理しました。


1. 家主の努力ではどうにもならない「立地・環境」を突く

まず、売り手に「この物件は今の価格では売れにくい」という現実を客観的に認識させます。

  • 競合物件の乱立: 「半径〇km以内に新築アパートが〇棟建ち、供給過剰になっている」
  • 立地の変化: 「近隣のスーパーが撤退した」「バスの便数が減った」
  • 嫌悪施設や土地の欠陥: 「前面道路が狭く、再建築時にセットバックが必要になる」「隣地との境界が未確定である」
  • 交渉のコツ: これらを「文句」としてではなく、「私が融資を受ける際、銀行(公庫)から厳しく評価されるポイントなんです」と、第三者(銀行)の視点を借りて伝えるのがスマートです。

2. 個別の弱点を「大きい順」に攻める(修繕費用の具体化)

「なんとなく古いから安くして」ではなく、「修繕にこれだけかかるから、その分を引いてほしい」と具体額をぶつけるのが鉄則です。

順位攻めるべき項目具体的な交渉材料
1位屋上防水・外壁塗装「RC造で15年放置されています。剥離やチョーキングが見られ、放置すると漏水リスクがある。見積もりでは500〜800万円必要です。」
2位受水槽・エレベーター「法定点検の記録から、基盤の交換時期が来ています。更新には150万円かかります。」
3位各部屋の設備「エアコンや給湯器が10年超えです。全戸交換すると100万円規模になります。」

3. 大規模修繕前の売却に対する「効果抜群」の理由

売り手が「大規模修繕が必要なタイミング」で売りに出しているのは、「修繕する資金がない」か「修繕の手間をかけてまで持ちたくない」かのどちらかです。

  • 売り手の心理: 「あと300万安くしても、今売れば500万の修繕費を払わなくて済む(実質200万得だ)」という計算が働きます。
  • あなたの戦略: 修繕費分を値引かせ、その浮いた枠で公庫から融資を引き、購入後に自分の息のかかった安い業者で直す。これが不動産投資で利益を確定させる必勝パターンです。

4. 交渉を成功させる「最後のスパイス」

どれだけ論理的に弱点を突いても、相手も人間です。以下の2点を添えることで、指値が通りやすくなります。

  1. 「融資の承認見込み」を伝える:「価格さえ折り合えば、公庫のスタートアップ融資の枠(または自己資金300万)で即決できる準備があります」と伝えることで、売り手に「この人なら確実に買ってくれる」という安心感を与えます。
  2. 「物件への愛着」を肯定する:「お父様(前オーナー)が大切にされてきた物件だと理解しています。私がしっかり引き継いで大規模修繕し、地域に貢献していきたいので、そのための資金を協力してほしい」というスタンスです。

注意点:公庫の融資への影響

あまりに過激な値引き(例:2,000万を1,000万に)を成功させると、公庫から「この物件は価値がないのでは?」と疑われることがあります。

交渉後の価格が「積算評価(土地+建物の価値)」と大きく乖離しない範囲に収まるよう、バランスを取るのがコツです。

長くなりそうなので、次回は続きを。。。